2015年09月10日

Team EAST WINDの約束事

ブラジルで開催されるアドベンチャーレース世界選手権まで、約2カ月。

大会中はずっと重い荷物を背負って進むので、今から慣らしておくために、13sの荷物(砂)を背負って走ってランする隊長。10月からは20sにアップする計画。レース中にメンバーのペースが落ちたら、そのメンバーの荷物を背負わなくてはいけない。急に重いものを背負うと肩が痛くなるし、それが全身の痛みにつながるため、今から慣らしておく必要があるのだそうだ。

荷物を持ってもらう側にしてみれば、普通に歩くことができない事に申し訳なく思うものの、その負荷をメンバーが背負ってくれるのだから「痛いから止めたい」などと口にするわけにはいかない。結局、チームの負荷はメンバー全員で抱え、支え、前に進む。それが「アドベンチャーレース」なのだ。

隊長自身も語っているように、そもそも彼はチーム競技向きの性格を持ち合わせていなかった。完全なる自己主義。小学生の頃は、常に自分が正しいと思っていたという。意見の合わないクラスメイトとは徹底的に、しかも勝つまでケンカしたとか。まったく嫌なタイプだ。

私が隊長と出会った当初、その傾向を垣間見るようなレース展開がいくつもあった。所詮チームの和なんてきれいごと。実力がある奴が勝つ。だから、チーム競技は実力のある奴が集まったチームが勝つ。メンバーが固定しなかったのも、常に「勝つための強いメンバー」を探し求めていたからなのかもしれない。

ある年のレースで、イーストウインドには最強とも思われるメンバーが集まった。個々に能力が備わっているので、国内でチームトレーニングなどしなくとも、充分に世界と戦える。そう思えた。

しかし、結果は惨敗。「強いメンバーが集まれば勝てる」という考え方は見事に裏切られた。しかもチームは崩壊。そもそもこのチームには、日本人が強みとする「和」は存在しなかったのだから、崩壊するも何も、最初から何もなかった。しかし、もしそれがあったら、このレースはかなりの上位に食い込んでいただろうと思う。

あれから隊長は幾度も、幾度も、幾度もレースを経験した。その度に「チームワークとは何か」という課題を突きつけられた。

自問自答を何度も何度も繰り返すうちに、少しずつ、自分たちなりにその意味や大切さを感じ取っていった。机上で学ぶのではなく、実地から学ぶことの意味を知っていくことになるのだ。

やがて私たちの間に子どもが生まれた。2人が3人になり、ある種のチームができた。子どもができたことで学ぶことは多い。私たちは親として、子どものためにできることをする。それは決して、子どものわがままを聞く事ではなく、親の意見を押し付けることでもない。ただ純粋に「今、何をしたらこの子のためになるだろうか」という思考が物事を決める上でのベースになった。

実際のところ、家族が最も身近なチームである。子どもも、まずは家族間でチームワークを学ぶ。家族間におけるチームワークは、きっと社会においても、レースにおいても、他者との人間関係においても、通じるところがあろう。

家族やチームに関わらず、この世は人と関わって事は進む。当然、自分と意見の合わない人も出てこよう。互いの主張が噛み合わず、ケンカになり、終には相手の人間性までを否定し始める、なんて事もある。

意見を言い合うのならまだいい。相手に意思を示しているから。しかし最終的に人間関係を崩壊してしまうのが「無視」である。アドベンチャーレースでは、これが一番簡単にチームワークを乱す方法だ。アドベンチャーレースにおいて「無視」は、チームメンバーに負荷を掛けるよりも、甘えるよりも、言い争うよりも、感情的になるよりも、何よりも自己中心極まりない行動だ。

「人は人を想う時、いつも以上の力を出す」と隊長が言う。その極みが、戦争中の特攻隊なのかもしれない。本当は自爆攻撃などしたくない。怖くて怖くて仕方ない。しかし、家族や国家を想って奮い立つ。あまりにも極端ではあるが、それもひとつなのだろうと思う。

私たち人間は、時に意見をぶつかり合わせながらも、支え合って生きている。自分の考えや意見を相手にうまく伝えられずに、悔しい思いもすることもあるし、孤独に陥る時もある。「自分はこんなに頑張ってるのに、どうしてわかってもらえないの?」なんて落ち込むこともしょっちゅうだ。

そんな時、少しだけ中心を変えてみてはどうだろう。「私は辛いの!」という気持ちを枠外に持っていき、そこに「今、この場を良くするためにはどうしたらいいのか?」といった、大義を中心に持って行く。そうすると、今まで自分のことしか見えていなかったことに気が付き、大きな枠で課題と自分自身を捉えられるかもしれない。



さて、後にTeam EAST WINDの約束事を作った。
『レース中、壁にぶつか時、自分の感情を言うのではなく、今チームのためにできるベストな方法を言い合う』


さて、以下は、以前は完全なる自己主義だった隊長の談。

『初めてアドベンチャーレース(’94レイドゴロワーズ・マレーシア大会)に出場した時、思い切り叩きのめされたんです。個人競技は自分の実力次第ですが、チーム競技であるアドベンチャーレースでは、自分だけがいくら強くても勝てない。

しかもそれに自然条件が絡んできます。数時間前にそこを通ったチームは天候に恵まれていても、自分たちが通る時は土砂降りになっていたり、川の水量が増えてたり。すべてにおいてイーブンではない。

ストレスが溜まり、些細な事でメンバーとの諍いも起きる。益々、苛立ちが募る。どんどんと悪循環に陥るんです。そして何より自分自身のコントロールがもっとも難しいと教えられました。

だからこそ「これだ!」と思ったんです。「アドベンチャーレースこそ自分を成長させてくれる場だ」と。

協調性のなかった自分が、アドベンチャーレースによって多くのことを学び、欠けているものを教えてくれると思ったんです』



ブラジルの世界選手権までのこり約2か月。
さてさて、今回はどんな展開になるか、楽しみだ。
イーストウインドのホームページ







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posted by Sue at 11:52| Comment(0) | 悪妻のボヤキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする