2015年12月27日

ブラジルレースを終えて

今回のブラジルレースは、前代未聞のオンパレードであった。

まずは参加費の国際送金。国際レースにしては今どき珍しい地銀指定。時間はかかるわ、手数料はかかるわ。挙句の果てにブラジル全体の銀行がストライキに入り、入金できずにこちらに戻るわ。すったもんだあって、最終的には、日本出発ギリギリになんとか入金完了。

次にスタート地点までの移動。なんたって遠い!!地球の裏側だもの、フライトに時間がかかるのは致し方ないけれど、現地では最寄の空港から車で6時間のところが集合地。スタートラインはここから軍の船で12時間遡上した場所。

そしてコース。隊長は「アドベンチャーレースを20年以上もやっているけど、ここまでワイルドな地域は初めて。人間が入ってはいけない場所、本物のマザーネイチャーに入ってきてしまったという感覚」と言う。案の定、コースディレクターも調査に入っていない場所がコースになっていた(通常のレースは、コースディレクターが全コースの調査に入り、安全性を確認し、所要時間の見積もりを出す)。

コース調査に入っていないせいか、所要時間の見積もりもかなりいい加減。「早ければ、この日にはゴールする」という日ですら、トップチームで、まだ3割しか進んでいない。後続チームに至っては、時間もないからと、順にセスナで搬送。しかし急な悪天候によってセスナを飛ばせず、イーストウインドは22時間のセスナ待ち。

再スタートしたものの、途中で渡船場所があり、そこで大渋滞が起きた。24時間渡船可能と説明があったのだが、どうやら夜間渡船をしていない。これまたスタッフもいない。選手だけがどんどん集まり、立ち往生。最終的に主催者が下した判断は、ここの到着順でゴール順位が決まる、というものだった。なんともスッキリしないゴールである。

リザルトが出た。釈然としない。なぜ、このセクションの所要時間この時間なのか?11位〜19位の順位の出し方がめちゃくちゃだ。何度見てもよくわからない。どうしてこうなる?解せないことが多すぎる今回のレースだ。

「誰もクレームをつけなかったの?」隊長に聞いてみた。熱中症に倒れ、足のマメや痛みに耐え、噛みつき蟻や、蚊の大群にも耐えてのレース。こんなに必至に戦っているのに、腑に落ちないルール変更で、さぞやみんな怒り心頭かと思った。

しかし、隊長の返事は、拍子抜けするほどあっさり。「うん。誰も言わない。言って何か良い状況に変わるということはないし、それでどうこうなるもんでもない」

言うまでもなく、順位は大事だ。選手たちはそれを競う。しかし、彼らは、どうやらそれだけじゃないようだ。そこには、その場に立った人間のみが得られる計り知れない何かがあるようだ。「人間が入ってはいけない場所に入れたんだ。それだけでもすごいこと。レースの運営はともあれ、環境は大絶景だったよ。二度と行かれないだろうなぁ、あんなところ」と隊長。なんとも呑気な発言にも思える一方で、透き通るほどピュアな響きと、余分なものすべてが削ぎ落とされたような感覚。

私なら、きっと激怒していただろう。「コースに調査に入らないなんて、何かあったらどうするつもりなの!」「この時間設定はおかしすぎるでしょ!」「順位の出し方があやふやすぎる!」怒りの訳を挙げれば、きりがない。

そう。きりがないのだ。怒っても事態は変わらない。だから怒っても仕方ない。怒るだけ体力を使う。ならば、その事態を受け入れ、そこからどうするかを考える。さらには、そんな滅多に陥る事のない窮地を味わう。選手たちは想像以上に大人だった。

「アドベンチャーレースは大人の究極に贅沢な遊び」とは言うが、これは装備にお金がかかるという意味ではなく、このスポーツでしか味わえない醍醐味があり、辛さがあり、喜びがある。彼らはそれを子どものようにストレートに感じられるのである。

なるほど。それだけでも行った甲斐はあったようだ。危ない目には遭いたくないけど、でも、そんな話を聞くと選手がちょっと羨ましい。

私はどうだろう。子育ても、仕事も、人間関係も、家事も、思うようにならないと、イライラして怒り出す。だれかのせいにしたがる。怒ったって何ひとつ変わるわけでもないし、増してや、それが改善されることもない。

ならば、そこからどうするか。偶然起きた事は必然性でもある。悪いのは誰かを探すことより、なぜそうなったのか、そして、そこからどうするかを考えていくようにしたい。

頭では分かっていても、いざとなって実行に移せない。もう少し大人になりたいものだ。
悪妻愚母、来年も日々精進していきます。



posted by Sue at 09:21| Comment(0) | 悪妻のボヤキ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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