2011年09月05日

競い合いの本質

XPD(世界選手権)が日に日に近くなる。隊長もゴソゴソと準備に勤しむ。

台風直下と言うのに、おもてでトントンとなにやらトンカチの音。何してんだか・・・。毎度のことなので私はまったく気にはならないが、台風の日に大工仕事をしている彼をご近所さんは好奇な目で見ていることだろう。

この台風の影響を微妙に受けつつある韓国で世界陸上が盛り上がっている。
フィギュアスケートのように個々の技術を見せるものでもなく、サッカーや野球のようにチームで行なうものでもなく、柔道や相撲のように相手を負かすという競技でもなく、「誰よりも速く」「誰よりも高く」「誰よりも遠く」と内容がシンプルだから3歳になる娘にも分かりやすいようで、「ヨーイ、ドン!」でスターとし、一番でゴールするボルト選手などは、名前といい、あのポーズといい、すぐに覚えたようだ(でも国名までは覚えられないみたい)。

それまでの精進は並大抵ではないだろう。もちろん陸上の世界だけではなく、どの競技だって選手はとてつもない練習量を、血を吐くようなトレーニングをしていることだろう。そんな一般人には理解しがたいほどの精進の先にあるのは『勝利』だ。

もとよりアドベンチャーレースも順位がつく競技。ひとつでもいい順位(成績)を残すのが目的である。選手であれば当然、勝ちたい。

だが、陸上とは異なり、過酷な自然環境、チームワーク、未知でのルートファインディングなど、複雑な要素が絡むこの競技には、トレーニングだけではゴールにはたどり着けないこともある。それを知っていて、選手たちはどのチームよりも先にゴールに到着することを目指して突き進む。

ある本に「競い合い」についてこう書いてあった事を思い出す。

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これは江戸時代に小さい食堂で料理人として働く娘の話で、ひょんなことから江戸一番の大料理店と競い合うことになる。相手はお役人たちが出入りするような大きな料理屋。一方娘の店は庶民のためのお店。仕入れるネタですら勝負がつく。それをどうにか工夫して競うというサクセス・ストーリー。

挑む献立を一生懸命に考える娘。しかし考えれば考えるほど、煮詰まってしまう。また周囲の騒がしいプレッシャーにも押しつぶされそうになる。それを見た同店を手伝う老婆がこういう。

「競い合いだもの、勝ちたいわねぇ。ただ勝ちたい一心で精進を重ねるのと、無心に精進を重ねた結果、勝ちを手に入れるのでは、『精進』の意味が大分と違うように思いますねぇ。

勝ちたいというのは欲ですよ。欲を持つことは決して悪いことではないけれど、人を追い詰めてダメにもします。勝ち負けが時の運。その時を決めるのは、人ではなくて神様や仏様。神様や仏様はちゃんと見ておりますよ。見返りを求めず一心に精進することです」

結果として娘は負ける。その結果を知ったお客さんの男(ストーリー中では鍵となる人物)がこういう。

「勝つことのみに拘っていた者が敗れたなら、それまでの精進は当人にとっての無駄。ただ無心に精進を重ねて敗れたならば、その精進は己の糧となる。本来、精進は人の糧となるものだが、欲がその本質を狂わしてしまうのだろう」

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以前、『なぜ「競争」をするのか』でも書いたが、競争というのは勝ち負けをつけるものではあるが、それ以上に目標に向かって互いに切磋琢磨しながら、社会をひとつにしていくこと。そこから互いの信頼と敬意が育まれることに意味があるのだと思う。

そのための戦略として目標をメダルに定めたり、順位に定めたりするのは、チームのベクトルをひとつにする良い指針でもある。

しかしそのメダルの色や順位が取れなかったとしても、それを目指して精進してきたことは必ずや己の肉となり血となる。

これはスポーツや料理の世界だけではなく、日常の生活においても同じ事が言えるのかもしれない。目標とする学校、資格、物づくり、会社・・・・。

勝つこと(合格すること、儲かること、上場すること)のみに拘る果てに、薬物に依存したり、替え玉やら携帯で知恵袋に頼るというカンニングを考えたり、偽装表示をしたりと、人としてやってはならない事まで思いつくようになる。

無心に精進していくこと。実はこれが一番大変だけど、一番正しい道であり、結果的に自分たちの糧になるものなのだ。

そんな事を思いながらも、今夜のおかずを、どのように手抜きしてやろうかと企むまったく精進できていない私である。



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posted by Sue at 09:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 干物女の行水 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ありがとうございます。
心がジンとしました。

「無心に精進」

次のレースへ向けて、自分の心も決まりました。

「山登りが好き」
この気持ちを忘れずに頑張りたいです。

Posted by かな at 2011年09月05日 19:50
かなさん
「好きこそ物の上手なり」とはよく言ったもので、嫌いなものや押し付けられたものは、やる気にも限界がありますが、好きなことは限界なく突き詰められますもんね。
がんばってください。応援しています。
Posted by Sue at 2011年09月06日 09:02
一時、小学校の運動会の徒競争で順位をつけず、皆頑張ったからとゴールの白いテープも用いなかったことがありました。うちの子は足が遅いけど、なんか偽善のように感じました。

ボルトは100m走、たった10秒未満のために凄い筋力つけて、しかも今回フライイング!何のために走る?なんて質問も寄せ付けない力!!

震災の後、人生観が変わって、何が起こるかわからんから、できる時にしたい事をしよう!が我が家の合言葉になりました。

 Sueちゃんは隊長のために何もできないと言ってますが、傍にいるだけで充分隊長の力になってると思います。隊長の充電。Sueちゃんは世界に一人しかいないのだから。代わりに私がいてもダメだと思いますが、いかがでせうか?(笑)
Posted by やこちゃん at 2011年09月06日 14:57
やこちゃんさん
最近、少しずつまた徒競争も見直されてきているようですが、一時、ありましたねぇ、順位をつけない徒競争ってのが。文科省も「平等に個性を伸ばすため」とかいいながらも、勉強には順位をつける。学歴にも順位をつける。そもそも子どもってのは競争が大好きで、その気持ちを上手に育むのが教育なのに、変にふさいだりするからおかしいニッポンになっちゃうんですよねぇ。

「Sueちゃんは隊長のために何もできないと言ってますが、傍にいるだけで充分隊長の力になってると思います。」

ありがとうございます。いや~でもホントにグウタラで悪妻なんですよぉ。分かっちゃいるけど、やめられない。でも文句だけは一流です(笑)。それだけ旦那にキャパがあるってことですかねぇ。私の代わりは誰でも務まると思いますが、おそらく私の旦那役ってのは隊長にしか務まらないんだと思います。ありがたや~~~
Posted by Sue at 2011年09月06日 15:20
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