2019年12月06日

親はこどもに何を教えるべき?

先日、ある人に「親はこどもに何を教えるべきだと思う?」と聞かれた。しばし考え込んだが、結局は「これです!」という明確な回答ができなかった。

そんな事のあった夜。何気にパソコンにある動画の整理をしていたら、9月に行った娘の小学校運動会の画が出てきたので、その動画を見ながら当時のことを思い出していた。

運動会の見せ場のひとつに高学年による組体操がある。児童の少ない娘の小学校は5年生と6年生合せても40名程度。夏休み明けから練習が始まるため、本番までは約2週間しかない。定番の扇、倒立、肩車、ピラミッドから大技タワーに至るまで、日々練習に励んだ。

身体の小さい娘は身体の小さい子たちと組む。倒立は2人組。娘は倒立をする役で家でも練習をした。ペアとなった脚を支える役の女の子も身体が小さく、あまり力が強い方ではないらしい。初めのうち、娘は何度も転んだ。支え役の友達も何度も娘の脚が顔に当たった。やがて娘は脚を預けることに、そして支え役の友達自身も娘の脚を受けることに自信を失い、娘は倒立が恐怖になっていった。

しかし運動会はやってくる。ペアの交代もない。そこで二人で「どうやったらうまくいくか」を話し合ったそうだ。その時、娘はあることに気が付いた。その友達は、どんなに娘の脚が顔に当たっても果敢に脚を受け取りに行く。彼女は受け取ることはできるが、支える力が弱くて離してしまうのだ。それに気が付いた娘は「〇〇ちゃんは絶対に脚を取ってくれる。だから大丈夫。後は私がしっかり脚を上げればいい」と思えるようになったと言う。
不思議なことに、支え役の友達にその話しをしたら、その時から二人の息が合うようになり、成功率が高くなったそうだ。
どうやら「あなたを信頼している」という気持ちが互いに伝わったようだ。

肩車はペアが交代する。娘は肩に乗る側となる。乗せる側の子も、娘よりは大きいものの、これまた身体の小さい子だ。力はある。しかし慣れない肩車は当然グラつく。それでも載せる側の子はしっかりと踏ん張って、何があっても娘を落とさないようにするそうだ。
「あきらちゃん、グラついたら遠慮しないで私の頭を持って!」と言ってくれたそうだ。本番まで、あーでもない、こーでもないと二人でベストな方法を模索していったらしい。

そして迎えた運動会。娘たちにとって、この運動場での最後の運動会になる。
児童数100余名の小さな小学校の運動会はつつがなく進行し、いよいよ組体操となった。
太鼓の合図で高学年が勢いよく運動場の真ん中目指して走ってくる。まずは個人種目。V字バランスやブリッジなど。続いてペア種目。いよいよ倒立だ。

今までの事を知っているだけに親の方が心配になる。ペアが互いに向き合う。緊張が走る。そして「倒立」の合図で娘が地面を手に付け、勢いよく脚を上げた。取った!友達は娘の脚をガシッと全身で受け取った。できた!
後でビデオを見てみると、顔を下にした娘が一瞬ニコッとしたのがわかる。脚をおろし、二人が向かい合った時、支え側の友達と娘とが顔を見合わせて、一瞬笑ったのもしっかりと映っていた。

肩車もグラつきなく成功。乗せる側の子は娘にガシッと頭を持たれながらも、しっかりと確実に立った。

そして最後の大技。運動会前日の予行演習ではうまく行かず、先生の厳しい指導が入っていた。これを外すわけにはいかない。小学生生活最後の大技だ。5年生6年生全員が中央に集まる。
すると低学年から「がんばれ~、がんばれ~」と大きな声援が飛び出した。予行演習でうまく行かなかったのを見ていたのだ。演技こそしないにせよ、高学年と気持ちが一緒になっている。みんなが見守る中、高学年の子どもたちは順に重なり合い、見事な4重の塔『名胡桃城』を造った。
実に立派な演技だった。


「子どもに何を教えるべきか」という質問に話は戻る。教えるべきことは山ほどある。しかし逆に私たち大人が子どもたちに教えてもらうことも同じくらいある。大人が教えずとも、子ども自身で学んでいることも少なくない。

小学校生活最後の運動会。わずか10分そこそこの組体操だったが、そこで感じた友情、信頼、そして成功体験は、きっとあの子たちのかけがえのない学びになったことだろう。

posted by Sue at 15:35| Comment(0) | 悪妻のボヤキ | 更新情報をチェックする
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