2020年05月09日

自粛ポリス・ストーリー

新型コロナウイルスの影響により、世界が危機に陥っている。
財政・経済も冷え込み、各国のGDPの成長率はマイナス。パンデミックが更なる不安を煽り、根拠のない噂からトイレットペーパーなど生活用品が店内から消えたことも。

感染恐怖と経済的不安の上に半ば強引な自粛でストレスが溜まり、私たちの心を蝕み始めた。
そこに現れたのが『自粛ポリス』。
感染者への誹謗中傷、県外ナンバーへの攻撃、営業している店舗への投石など、いささか度を越した他罰をする人たちが出てきたのだ。

ネットで専門家が「自粛ポリス的な発想の人たちには『正義』ですから、堂々とやってしまうんです」と言っていた。
もちろん人が集まる場所では自粛する必要がある。しかし感染者は誰一人として感染を望んでいた人はいないはず。お店にしても、止む無く営業しているところもある。今の状況はそれぞれが悩みに悩んだ結果の行動だとしたら?

以下、同専門家インタビューからの引用。
「生活への不安や欲求不満で、攻撃性が高まるんですね。みんな、イライラをぶつける相手を探している。それが家族への八つ当たりだったり、県外ナンバー車の監視だったり、お店や役所への文句なんでしょうね。ある意味、私たちの中にある防衛本能でもあるんです。不安が高まれば、自分を守りたくなる。それが『よそ者』への攻撃に向かっていくんです」

それが真実ならば、人の心は感染より恐ろしい。

営業し続けるには、きっとそれぞれ理由があるのだろう。勝手に想像して物語を作るとしたら、家族の生活を維持するため、人々のストレスを緩和するため、生活必需品を販売するため、大切な誰かと「命続く限り店を開ける」と約束したため、とか。
他人が知らない深い理由が、そこにはあるのかもしれない。


記事を読んでいて、ふと思う。
自粛ポリスは一般社会に似ている。

例えばオトナと子ども。
子どもがやることには意味がある。生まれたばかりの赤ちゃんにも、幼子にも、ティーンにも、それぞれに意味がある。オトナから見たら、それは必ずしも正しいものではないかもしれない。しかし、子どもは子どもなりに考えて行った行為である。

「自粛ポリス的な発想の人たちには『正義』ですから、堂々とやってしまうんです」
オトナは自分の意見が正義と思うから、堂々と子どもを諭そうとする。諭すだけならまだしも、叱りつけることで恐怖感を持たせ、子どもそのものをコントロールしようとする。
しかし、それは本当に正しい意見なのだろうか?
感情任せになってないだろうか?
自分の都合を押し付けてないか?

子どもはオトナの所有物ではない。子ども自身「個」である。もちろん成熟してない分、オトナが手を取り導いていくのだが、それでもオトナが知らないうちに子ども達は、それぞれが感じ、考え、吸収している。やがてオトナの言うことに疑問を持つようになる。それが「感情」や「都合」で発言されていれば尚更だ。


例えばアドベンチャーレース。
何日間も不眠不休で歩き続け、身体はボロボロ。力も出ない。関門時間が迫っていることは重々承知だ。時間がない。しかし、もう脚が前に出ないのだ。
体力が残るメンバーは先に進む。
「少しだけ休憩させてほしい」意を決して声に出す。
「俺だって脚が痛いんだから、お前ももっとがんばれ。制限時間が迫っている」苛立つチームメイト。
「ここで休んだ方がパフォーマンスがあがる」
「ならば、何分間休んだら前に進めるのか?」
「そんな問題じゃない。少しは相手の気持ちも考えてくれ」
どちらも自分なりの『正義』を主張する。相手の言っていることも理解しているのだが、引くに引けない。そうなると、ただ単に互いに自分の感情をぶつけ合っているだけである。
目指すは今ここでの感情の正当性ではなく、ずっと先にあるゴールテープなのに。


結局『何が正しいか』は、それぞれの環境や経験をベースに構成された思考に過ぎないのではないだろうか。


他人に誹謗中傷を撒き散らしたり、上から物事を言ったり、無視や投石や監視をしたって、事は思い通りになりゃしない。
目指すは休業や自粛ではなく、コロナを撲滅することにあるはずなのに。

ならば相手(たとえば子どもやチームメイト)の環境、経験、気持ち、痛み、考えなどを正しく聞いた上で、自分の考えを話すこともアリかと思う。それを相手が納得すれば、自粛をしてくれるかもしれない。少なくとも、どうしたらいいかを一緒に考えられるかもしれない。


さて、我が家にも3か月目の休業に入るティーンがいる。念願叶って合格した中高一貫校の制服は、まだ数回しか着ていない。新しい制服を着て登校できる日を待ち焦がれながら、親である私は生活ポリスにならないように意識したい。

でも、隊長が勝手に冷蔵庫のスイーツを食べてしまうことは、できる限り厳しく取り締まる冷蔵庫ポリスを意識していかねば。

posted by Sue at 14:36| Comment(0) | 悪妻のボヤキ | 更新情報をチェックする
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